かなめ珈琲会のブログ

同人活動・オタク活動もろもろ

3人カップリングWebオンリーを企画運営してみて考えたことなど

はじめに

 女性向け二次創作ジャンルで「3人カップリングWebオンリーイベント」の主催をやっています。
 そんなに類例の多くないイベントかと思うので、開催に至った経緯や所感などまとめてみました。
 覚書程度のものですが、似たような企画をされたい方のご参考になればと思います。

 

開催概要

プラットフォーム:pictSQUARE
開催時期:第1弾2022年4月、第2弾11月
ジャンル:ヒプノシスマイク
公式が二次創作ガイドラインを提供しているジャンルであり、イベントもそれに則って開催しています。
主催について:
2021年3月頃より同ジャンルで二次創作活動を開始。コロナ禍のためしばらくオンラインのみで活動。Webオンリーへの参加経験はあったが、同人関連のイベント・企画等の主催経験はなし。同人活動自体は十年以上前から行っており、個人Webサイト運営や同人誌制作の経験はあり。主に小説、たまに絵も描く。十年以上前から3人(以上)の関係性が大好き。

 

きっかけ

・現ジャンルは3人組ユニットが多数出てくるため、3人の性的関係を描いたいわゆる3Pの作品がしばしば見られる。自分自身、某3人組ユニット(以下Pとする)が好きなのでよく書いていた。
・同ジャンルの、Pとは別の3人組の3人カップリングWebオンリーイベントの存在を知る。世の中にはこんなイベントがあるんや~と感銘を受ける。
・21年10月、初めて現ジャンルのオフイベントに一般参加。予想以上にPの3人カップリングの本がある。こんなに本を作る人や読む人がいるなら、Webオンリーイベントもいけるのでは?と思い始める。
ツイッターでPの3人交際/3PWebオンリーがあったら参加したいかアンケートを取ってみたところ、結構な反響がある。(最終結果458票、サークル参加したい人約23%・一般参加したい人約77%)
・イベント主催経験がないので迷ったが、pictSQUAREの主催者向けヘルプを読んでみたところ、なんとかなりそうだったので踏み切った。参加者の個人情報やお金を預からなくてよいという点はやはり大きかった。

 

サークル参加条件規定

これは主催される方が特に迷うポイントではないかと思います。当イベントでは以下のように設定しました。

***
【※キャラ名は「A」、「B」、「C」に置き換えてあります。〔中略〕にしてある箇所は、特定のパラレル設定などのジャンル内ローカル事情に関わる記載です】

A、B、Cの3人カップリングを扱った作品が1点以上あること。
既刊のみ・無配のみ・展示のみでの参加も可です。

※A、B、Cの3人カップリングであれば、3人の中での受攻の組合せ・有無は問いません。
〔中略〕
※パラレル・パロディ作品(女体化、獣化、年齢操作等)OK
※受攻・派生・パラレル等の作品傾向は適宜、お品書き等に記載してください。

※R18作品・全年齢作品のいずれも可です。どこまでが「3人カップリング」かの境界は曖昧になるかと思いますが、主催側で細かい基準を設けることはいたしませんので、ご自身の作品を「3人カップリング」の作品として発表したいかどうかを各自でご判断の上、お申し込みください。

※以下は参加条件に当てはまらない作品となります。
・A、B、Cのうちいずれか2名のみのカップリング
・A、B、Cのうちいずれか1-2名と他キャラ〔中略〕の3人カップリング

※他のカップリング・キャラの作品を同時に頒布しても問題ありません。その際はお品書き等への明記をお願いします。
***

規定を作る上で、特に注意した点は以下です。

(1) 「3人の親密な関係性」を描いた二次創作作品を、なるべく広く包含できるようにする
 3人の関係性の二次創作というと、セクシャルなもののイメージが強いのではないかと思います。ただ、性愛その他なんらか深い関係を結ぶ3人の物語というのは、エロ以外にもいろんな形がありうるし、いろんな形があってこそ面白いんじゃないか…と個人的に思っているので、エロと非エロのどちらも排除せず、優劣もつけないようなイベントにしたいと思いました。「3人カップリング」という表現に落ち着いたのはそのためです。「3P」だとセクシャルな意味が強くなってしまうし、「3人交際」だと「交際」という語のニュアンスのために関係性が限定されてしまうかもしれないと考えた結果、何らかの深い関係性を広く意味することのできる「カップリング」という語を使うことにしました。
 いわゆるトリオも含めた、3人を題材にした二次創作全般のオンリーイベントにするという方向性もありましたが、そうしなかったのは、「3人の親密な関係性」が主人公のイベントというのはわざわざ作らないとめったに存在しないためです(あと、トリオ可にすると規模が大きくなりすぎてマネージしきれないかもという懸念もありました)。私自身、3人の性愛その他何らか深い関係性を扱った創作が大好きという人間なので、それが主人公になる場所を見たい!という気持ちがありました。

(2) 参加作品を奇異なもの・恥ずべきものとして扱うような言葉遣いは避ける
 3人カップリングはやっぱりマイナーではあると思うし、一般的でないという意味ではいわゆる特殊性癖に当たるとは思うんですが、「いわゆる特殊性癖」に対して、単に多数派ではないという以上の、卑下するようなニュアンスを持った言葉遣いはできるだけ避けて、なるべくフラットに扱いたいと思っていました。規定の中で「特殊性癖」という語自体の使用を避け、「作品傾向は適宜、お品書き等に記載してください」という書き方をしたのは、上記のような考え方が背景にあったためです。
 あと、私個人は実生活のセクシャリティと好きな物語内の人物のセクシャリティとは直結しないタイプの人間なんですが、イベントに参加される方の中には、複数の相手と深い関係になるということをご自身の実生活上のこととして捉えている方もいらっしゃるだろうと思うので、そういう方に失礼な言葉遣い等々をしないようにというのは意識しています。

 

1回目をやってみて

いろいろと反響をいただきました。特に印象的だったのは次の点です。

(1) 受攻曖昧にやっていきたい人のニーズに応えられた
 女性向けジャンルでキャラクターの親密な関係性の二次創作をしようとすると、受けと攻め(少なくとも一方)をはっきり決めなければ、イベント申込やweb掲載時のタグ付けなどいろいろやりづらい…というのが現状だと思いますが、前述のように「3人の深い関係性であれば受攻は問わないし、申込時に明記する必要もない」という規定にしたことで、結果的に「受攻かっちりだとやりづらい派」の方のニーズに合ったという感もあり、よかったなと思っています。大きなイベントだと、配置の問題上、どうしても受攻といった基準を持ち込まなければならない面があるだろうと思いますが、既存の基準にこだわらなくていい点は、個人主催のオンリーイベントの大きな可能性ではないかと感じています。

(2) 「3人カップリング」の定義を曖昧にしたが、意外となんとかなった
 1点目とも関係するんですが、参加規程は要するに「3人カップリング作品、ただしカップリングとはなんなのかは各自の判断にゆだねる」という形を取っているので、「それじゃ曖昧過ぎてよくわからん」と言われるかも…とは思っていました。ですが、やってみたところ思いの外、こちらの意図を参加者の方にも汲み取って頂けたように感じています。
 ただ、この点はそもそも当の3人のキャラクターたちが奔放な人々で、友愛性愛その他曖昧な感じでイチャイチャするのが合っているタイプだったからというのもあるかもしれません。作品やキャラクター、また、その時に二次創作界隈にいる人々の傾向によって変わってくるところだろうと思います。
 参加頂いた作品の傾向も、エッチなものもあれば3人でそいとげて生きていくんや…!という感じのものもあり、その他多彩な作品が見られて、3人カップリングにもこんなにいろんな形があるんだと思った・刺激になったという反応を頂きました。すごくいいことだと思うので、今後もそういう雰囲気を保っていきたいです。
 ただ、曖昧さゆえのデメリットもあるだろうとは思っています。パッと見てわかりやすい規定ではないので、「3Pのオンリー」や「トリオのオンリー」だと思っている人もいるだろうと思うし、サークル参加を検討してくださる人の中には「自分の作品がカップリング二次創作といえるかどうかわからないので、むしろ決めてほしい」という人もいるだろうと思います。そのあたりも踏まえた上で、デメリットもあるだろうが曖昧さゆえのメリットの方を取るぞと考えているのが現状です。

(3) そもそも3人カップリング作品の発表の場が意外とない
 私は昔から3人カップリング大好き人間なため、特に周囲の目などを気にせず書きたくなったら書いてしまうのですが、周りに好きな人がいるかどうかわからなかったり、オフイベントに申し込もうにもどう申請していいかよくわからないという状況では、書(/描)きたくても書きづらい人もいるよな…ということを、参加者の方のお声を聞いている中で感じました。なので「3人カップリングの作品を発表したかったら、このWebオンリーがある」と思ってもらえる場所を作りたいなと考えています。1回目の際は、普段3人カップリング作品を書かれない方が参加してくださったり、この機会があるから書いてみようと思ったと言って頂けたことなどがあり、やってよかったなと感じました。

 

目標設定

 1回目を経て、「とにかく『3人カップリング作品専用の発表の場』が存在することに大きな意義があるんだな」と感じ、その場を存続させることを第一目標にしようと決めました。言い換えると「あまり凝ったことはせず、無理なく続けられる形を作ろう」ということです。
 なので第2弾は前回のリソースをいろいろと流用しつつ、シンプル経営を探りながらやっていったという感じです。具体的な作業工程は後述します。

 ただ、pictSQUAREでイベントを開くこと自体は(それなりに大変ですが)頑張ればまあなんとかなるのですが、それ以上の「やった方がよさそうなこと」は無数にあるし、他のイベントを見て回ってみると、大規模だったり企画が充実したすごいイベントはいくらでも出てくるので、何をどこまで頑張り何はやらないかの取捨選択は悩みどころでした。
 宣伝やpictSQUAREの使い方案内等、人を集めるための活動や、企画など盛り上げるための活動は、やったほうがいいっちゃいいのでしょうが、かける労力に見合うリターンがどの程度あるかは、その時のジャンルの規模感や人の流れなどに依存する面も、どうしてもあるだろうと思います。
 私はいまのところ一人で運営をやっており、人を増やそうにも業務の分配や勧誘をする労力がないので当面は難しいかなという感じなのですが、そうするとやはりできることに限界はあります。なので、イベント成立に必要な最低限+α(なるべく「やった方がよさそう」ではなく自分が「やりたい、面白そう」と思えて、モチベーションを維持できるもの)くらいでやっていくという方針にしています。
やっていないことの具体例としては、たとえばマシュマロ等の匿名投稿フォームは常設していません。匿名投稿を受け付けること自体がある程度リスクを伴いますし、一人で運営しながらでは対処しきれないなと思ったからです。ただこのあたりは、一緒に運営できる仲間がいるかどうかで違ってくるところだろうと思います。

 イベント主催をやってみて、事務作業はまあそれなりに負担なのですが、それ以上に「様々な選択肢がありうる中で『これはやる』『これはやらない』と決め、その責任をもつこと」のメンタル面の負担が大きいな…と感じています。それが主催の最大の仕事なのかもしれません。


イベント第2弾開催までの主な作業工程

 詳しくは書ききれないのでだいぶざっくりです。
 あまりマニュアル的な参考にはならないと思うのですが、そこまで内容を整理する余力がなかった…すまぬ…

***
ツイッターアカウントは第1弾から継続して使用
※サークル参加告知ツイートやハッシュタグ付きツイートは随時RT
※新情報告知後、随時イベントページに追記

4月末の第1回イベント事後アンケートで、次回開催希望時期を聞く
スケジュール(含〆切)作成

イメージイラスト依頼
当日企画検討
会場内で合言葉を探すゲーム企画のお礼漫画依頼

pictSQUAREイベントページ作成
各種画像作成(第1弾のものをマイナーチェンジして利用)
・イベントロゴ
・告知ページ・ツイッターヘッダ(仮) 等

日程告知 
・初発7/6(水)(Twitter
・サイト公開・申込開始7/10(日)
ツイッターアカウント改装(ヘッダ、bio文、リンク)
イベント支援に関し、申請の必要な支援印刷所に連絡(→イベント合わせで同人誌を出す人が少なそうならやらなくていいかも)

8月
宣伝ツイートをたまに行う程度

9月
ヘッダ等画像を、イメージイラストを入れた最終版に差し替え
(イベントページ、ツイッターbioにクレジット記載)
とらのあなWebオンリー支援申請(→とらのあなに委託している人が少なそうならやらなくていいかも)

10月
サークル参加申込締切(10/28)が近づいてきたのでちょいちょい告知
10/21~当日企画を告知
(合言葉を探すゲーム企画、アンケート企画&記念スペース、記念撮影)
申込締切を10/28→11/3に延長

11月
サークル配置確定
告知用テンプレート配布
mintでサークル参加者向け/一般参加者向け情報ツイートまとめ作成
本部店舗の展示作成(タイムテーブル、サークルリスト、当日企画案内等)
会場背景作成
宣伝・お知らせツイート随時
***

 という感じです。体感として、直前になるとやることが多めです。
 いったんイベントページ等を作ってしまうと、8月9月頃はそんなにやることがなく、10月前半くらいまでは個人誌の作成に注力していました。

 

今後

 継続したいな~と思っています。仕事も生活もあるので、どこまでできるかわかりませんが、4回目くらいまではなんとかやれたらいいな…と思っています。そもそもイベントをやれるほど書き手読み手がいる3人カップリングで活動できている機会自体が貴重だなと思いますし…
 そして、願わくば「3人カップリングのオンリーイベント」というものが、多数派ではないにしろ、それなりに一般的に存在するようなものになってくれたらいいなと思います。
 同じような企画をご検討の方がいらしたら、ぜひ頑張ってみてください…!
 ほしいものを自分で作れるのが同人活動の力…!

『ヘルタースケルター』装丁まとめ

はじめに

 22年10月に特殊装丁の同人誌(二次創作)を発行しました。

 頑張っていろいろ盛ったので、記録として残しておきます。

 装丁がお好きな方や、類似のプランをご検討のかたの参考になれば幸いです。

概要

  • 印刷所:Editnetプリンテック様(https://editnet-p.jp/
  • プラン:EcoDuo(表紙オフセット、本文孔版印刷)
  • A5/無線綴じ112頁/小説(R18)
  • 表紙:オフセット3色刷り
  • 本文:孔版印刷/紙変えあり(計4種類)/インク色変えあり(計9種類)
  • タイトル:『ヘルタースケルター
  • ジャンル:二次創作(ヒプノシスマイク/FlingPosse3人交際)

とらのあなにて頒布:https://ec.toranoana.jp/joshi_r/ec/item/040031018056/

22年11月13日まで本文全文公開中:https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18501645

(いずれもリンク先はR18です)

 

 以下、表紙・本文の装丁について実物画像を交えつつ紹介していきます。写真がとても下手なので申し訳ない…

表紙

 イラストは友人の恵八さん(@k8sub)にご依頼し、作中のワンシーン(3人交際ポッセが優勝記念の玉座の上で愛し合うという夢想の場面)をモチーフに作成していただきました。

表紙。

 用紙はガイアAホワイト130kg、オフセット印刷で黒・黄・6朱色の3色刷りです。

 

凹凸のある紙です。

 

表紙イラストでポストカードも作りました。

 

表紙参考画像

 色刷りの配色は恵八さんに案を出して頂き、ご相談しつつ決めていきました。当初、紙吹雪をポッセのイメージカラーである黄色にする方向で考えていたのですが、検討の上、白抜きでということになり、代わりに紙吹雪のみを黄色で表2-3に印刷しました。

表2(黄一色刷り)と3頁。

本文

 本文中で紙変え・色変えを行い、紙を計4種類、インキ(孔版印刷)計9種類使っています。

 製本の関係上、3-6頁/7-10頁/11-14頁…と前から4頁ずつ同じ紙にする必要があります。また、インクは3, 6頁/4, 5頁/7, 10頁…と同じ紙の表・裏で揃える必要があります。詳しくはプリンテックさんのマニュアル*1をご覧ください。

 3-6頁は色上質中厚口・黄に黒インクです。

4-5頁。紙吹雪イラスト+各話タイトルの英訳。

 当初は4-5頁を目次にするつもりだったんですが、見づらいかなと思い、各話タイトルの英訳を配置するのみにしました。口絵なんだか何なんだかというページになりましたが、これはこれで気に入っています。

6-7頁

 色上質中厚口黄はちょっと裏透けしています。

 7頁に目次と注意書き。ここからの本文は用紙:アドニスラフ70(60kg)にインク:チェリーピンクです。

8頁。1話目冒頭。アドニスラフ70に孔版チェリーピンク。

8頁。アドニスラフが粗目なので掠れが出ています。

 スターとしてのフリングポッセがテーマの本なので、スキャンダラスで猥雑な雰囲気を出したいと思い、タブロイド紙を本全体のデザイン上のイメージにしています。本文は前半3話・後半3話の二部構成で、前半は新聞の紙面をイメージしました。ざらざらした風合いのアドニスラフを使っています。

 一話目は乱数がメインの話なので、色はイメージカラーのピンクです。チェリーピンク、本文には向かないか…?とも思ったのですが、twitterで他の方の作例画像を探してみたところ、わりとパキッとした色が出そうな印象だったので思い切って挑戦しました。若干薄目ではありますが、読めないほどではないです。

 

 ちなみに、組版は「組版マクロ for Word」*2を使いました。綺麗に組めたので大変ありがたい…

組版参考画像(本文前半)

 新聞っぽさを出すため、当初は4段組にして一行十数字くらいにという形も考えたんですが、さすがにそれだけ一行が短いと小説としては読みづらい…ということでこの形に落ち着きました。

 

28頁。2話目冒頭。アドニスラフ70に孔版グリーンフォレスト。

 2話目は帝統メインの話なのでイメージカラーの緑系インク。鮮やかな濃緑です。

44頁。3話目冒頭。アドニスラフ70に孔版藤。

 3話目は幻太郎メインの話なので、インクはイメージカラーの紫系です。

 前半3話とも、キャラクターのイメージカラーに合わせつつ、比較的パキッと明るめのインクを選びました。ガチャガチャした雰囲気になってもそれはそれでいいかなと思い…

56頁。少年漫画の紙ピンクに孔版茶。

 前半と後半の間に、表紙イラストの線画を見開きで印刷したイラストページが入ります。

57-58頁。57頁は少年漫画の紙ピンクに孔版黄、58頁は再生上質紙90kgに孔版ブルージーンズ。

 少年漫画の紙は裏透けするということだったので、イラスト面の裏側はノンブルと飾りのみにしています。ピンク地に黄インクなのでほとんど見えませんが、これはこれでいいかなと…。

 

59頁。4話目冒頭。再生上質紙90kgに孔版ブルージーンズ。

 59頁以降は本文後半です。ここから用紙と紙面のデザインが変わります。後半3話はフリングポッセを追いかけているうちに音楽ライターになるモブ青年の物語なので、カルチャー誌や文芸誌をイメージした紙面にしました。紙も平滑な上質紙に変えています。インク色は夜の場面から始まることにちなんで濃い青に。(4, 5話目は台割の都合で本文インキは同色です)

 前半と字数・行数・段数は同じで、フォントとタイトル、ノンブルのデザインを変えてあります。

組版参考画像(本文後半)

61頁。すかした雑誌風の雰囲気にしたかった。

 小説同人誌の本文にゴシック体を使ったのは初めてなのですが、意外と行けるなということがわかりました。

92頁。6話目冒頭。再生上質紙90kgに孔版赤。

 6話目は赤インク。朱っぽい色合いの、ビビッドで景気のいい(?)感じの赤です。

 

108頁。再生上質紙90kgに孔版黄土色。

 あとがきページに再び紙吹雪イラストを使い、黄土色インクで刷っています。黄土色はゴールドっぽく見えるかなということで使ってみました。

109頁あとがきより。雑誌とかの編集後記風。

 …という感じで、色変え・紙変えのオプションをフル活用させて頂き、楽しく作りました。プリンテックさんは11月から料金値上げ*3とのことで、値上げ直前にオプションをめいっぱい活用させて頂いてしまった…という感じで、申し訳ないところなのですが、孔版印刷の風合いはやっぱり魅力的だなと思うし、サービスも行き届いていて、今後もまた使いたい印刷所です。色刷り・多色刷りや非光沢系の特殊紙がお好きな方には特にお勧めです!

 

 お読みいただきありがとうございました。楽しい同人ライフを!

 

 

 

*1:Editnet Printeq Web「原稿の作成」(https://editnet-p.jp/howtodraw/)内『EditNetプリンテックご利用ガイドブック』

*2:https://www.vector.co.jp/soft/winnt/writing/se499998.html 

*3:https://editnet-p.jp/news/220901/