『ヘルタースケルター』装丁まとめ
はじめに
22年10月に特殊装丁の同人誌(二次創作)を発行しました。
頑張っていろいろ盛ったので、記録として残しておきます。
装丁がお好きな方や、類似のプランをご検討のかたの参考になれば幸いです。
概要
- 印刷所:Editnetプリンテック様(https://editnet-p.jp/)
- プラン:EcoDuo(表紙オフセット、本文孔版印刷)
- A5/無線綴じ112頁/小説(R18)
- 表紙:オフセット3色刷り
- 本文:孔版印刷/紙変えあり(計4種類)/インク色変えあり(計9種類)
- タイトル:『ヘルタースケルター』
- ジャンル:二次創作(ヒプノシスマイク/FlingPosse3人交際)
とらのあなにて頒布:https://ec.toranoana.jp/joshi_r/ec/item/040031018056/
22年11月13日まで本文全文公開中:https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18501645
(いずれもリンク先はR18です)
以下、表紙・本文の装丁について実物画像を交えつつ紹介していきます。写真がとても下手なので申し訳ない…
表紙
イラストは友人の恵八さん(@k8sub)にご依頼し、作中のワンシーン(3人交際ポッセが優勝記念の玉座の上で愛し合うという夢想の場面)をモチーフに作成していただきました。
用紙はガイアAホワイト130kg、オフセット印刷で黒・黄・6朱色の3色刷りです。
色刷りの配色は恵八さんに案を出して頂き、ご相談しつつ決めていきました。当初、紙吹雪をポッセのイメージカラーである黄色にする方向で考えていたのですが、検討の上、白抜きでということになり、代わりに紙吹雪のみを黄色で表2-3に印刷しました。
本文
本文中で紙変え・色変えを行い、紙を計4種類、インキ(孔版印刷)計9種類使っています。
製本の関係上、3-6頁/7-10頁/11-14頁…と前から4頁ずつ同じ紙にする必要があります。また、インクは3, 6頁/4, 5頁/7, 10頁…と同じ紙の表・裏で揃える必要があります。詳しくはプリンテックさんのマニュアル*1をご覧ください。
3-6頁は色上質中厚口・黄に黒インクです。
当初は4-5頁を目次にするつもりだったんですが、見づらいかなと思い、各話タイトルの英訳を配置するのみにしました。口絵なんだか何なんだかというページになりましたが、これはこれで気に入っています。
色上質中厚口黄はちょっと裏透けしています。
7頁に目次と注意書き。ここからの本文は用紙:アドニスラフ70(60kg)にインク:チェリーピンクです。
スターとしてのフリングポッセがテーマの本なので、スキャンダラスで猥雑な雰囲気を出したいと思い、タブロイド紙を本全体のデザイン上のイメージにしています。本文は前半3話・後半3話の二部構成で、前半は新聞の紙面をイメージしました。ざらざらした風合いのアドニスラフを使っています。
一話目は乱数がメインの話なので、色はイメージカラーのピンクです。チェリーピンク、本文には向かないか…?とも思ったのですが、twitterで他の方の作例画像を探してみたところ、わりとパキッとした色が出そうな印象だったので思い切って挑戦しました。若干薄目ではありますが、読めないほどではないです。
ちなみに、組版は「組版マクロ for Word」*2を使いました。綺麗に組めたので大変ありがたい…
新聞っぽさを出すため、当初は4段組にして一行十数字くらいにという形も考えたんですが、さすがにそれだけ一行が短いと小説としては読みづらい…ということでこの形に落ち着きました。
2話目は帝統メインの話なのでイメージカラーの緑系インク。鮮やかな濃緑です。
3話目は幻太郎メインの話なので、インクはイメージカラーの紫系です。
前半3話とも、キャラクターのイメージカラーに合わせつつ、比較的パキッと明るめのインクを選びました。ガチャガチャした雰囲気になってもそれはそれでいいかなと思い…
前半と後半の間に、表紙イラストの線画を見開きで印刷したイラストページが入ります。
少年漫画の紙は裏透けするということだったので、イラスト面の裏側はノンブルと飾りのみにしています。ピンク地に黄インクなのでほとんど見えませんが、これはこれでいいかなと…。
59頁以降は本文後半です。ここから用紙と紙面のデザインが変わります。後半3話はフリングポッセを追いかけているうちに音楽ライターになるモブ青年の物語なので、カルチャー誌や文芸誌をイメージした紙面にしました。紙も平滑な上質紙に変えています。インク色は夜の場面から始まることにちなんで濃い青に。(4, 5話目は台割の都合で本文インキは同色です)
前半と字数・行数・段数は同じで、フォントとタイトル、ノンブルのデザインを変えてあります。
小説同人誌の本文にゴシック体を使ったのは初めてなのですが、意外と行けるなということがわかりました。
6話目は赤インク。朱っぽい色合いの、ビビッドで景気のいい(?)感じの赤です。
あとがきページに再び紙吹雪イラストを使い、黄土色インクで刷っています。黄土色はゴールドっぽく見えるかなということで使ってみました。
…という感じで、色変え・紙変えのオプションをフル活用させて頂き、楽しく作りました。プリンテックさんは11月から料金値上げ*3とのことで、値上げ直前にオプションをめいっぱい活用させて頂いてしまった…という感じで、申し訳ないところなのですが、孔版印刷の風合いはやっぱり魅力的だなと思うし、サービスも行き届いていて、今後もまた使いたい印刷所です。色刷り・多色刷りや非光沢系の特殊紙がお好きな方には特にお勧めです!
お読みいただきありがとうございました。楽しい同人ライフを!
*1:Editnet Printeq Web「原稿の作成」(https://editnet-p.jp/howtodraw/)内『EditNetプリンテックご利用ガイドブック』
*2:https://www.vector.co.jp/soft/winnt/writing/se499998.html